2022-02-22
不動産の売却時に、売主が買主に対して負う責任の1つが「契約不適合責任」です。
契約不適合責任は、2020年4月におこなわれた民法改正で、瑕疵担保責任に代わり定められた制度です。
今回は、契約不適合責任について、瑕疵担保責任との違いや注意点を踏まえてご紹介します。
松戸市で不動産売却をご検討している方は、参考にしてください。
\お気軽にご相談ください!/
契約不適合責任とは、不動産の売買契約において、目的物の種類や品質、数量が契約内容に適合しない場合、売主が買主に対して負う責任のことをいいます。
契約不履行に関する責任について、これまでは「瑕疵担保責任」がありましたが、2020年の民法改正により、瑕疵担保責任は、契約不適合責任に代わりました。
不動産の売却における契約不適合責任とは、どのようなものでしょうか。
不動産を売却する際に契約不適合責任が問われるのは、主に以下のケースです。
契約不適合責任は、物理的な瑕疵だけでなく、心理的瑕疵にも適用されます。
自殺や他殺が過去に発生した、近くに工場などの嫌悪施設があるといった、買主に不安を与える事実を知っていれば、必ず契約書に記載するようにしましょう。
上記の内容を知っているにもかかわらず、買主にその事実を伝えていなければ、契約不適合責任を問われる可能性があります。
購入した不動産が、契約内容と異なる場合、買主は売主に対して以下の請求をおこなうことができます。
追完請求とは、契約内容に適合するよう売主に要求できる権利です。
追完請求が以下の方法でおこなわれます。
不動産の売却において、引渡した建物とまったく同じものを用意することはできません。
同じ間取りだが、階数は異なるなど、不動産には必ず違いがあります。
そのため、不動産の売却における追完請求は、「目的物の修補」が該当します。
たとえば、建物の損傷が無いと契約書には記載されているが、実際には柱が腐食していた場合、買主は売主に対して柱の修繕を請求することができます。
代金減額請求は、買主が追完請求を履行しない場合に請求できる権利です。
たとえば、売主が病気などを理由に、追完請求を履行できない場合、買主は修繕費用に相当する額を、売買代金から減額するよう請求することができます。
契約解除には、以下2つがあります。
催告解除とは、売主が追完請求に応じない際、買主が催告(行為をおこなうよう要求すること)したうえで、契約を解除する方法です。
一方、無催告解除の場合は、直ちに契約解除をおこなうことができます。
たとえば、契約書に記載のない柱の腐食の状態がひどく、修繕をおこなったとしても住める状態にまで復旧できない場合、買主は直ちに契約を解除することが可能です。
損害賠償請求は、買主が損害を被った際に請求することができます。
不動産売却において、損害賠償の対象となる費用は、契約解除までに発生した仲介手数料や登記費用、印紙代などが該当します。
また、買主が転売目的で不動産を購入していた場合、転売によって得られるはずの利益も損害賠償の対象です。
なお、損害賠償請求は他の請求とは違い、過失責任となります。
売主が故意に事実を隠していない限り、買主は損害賠償請求をおこなうことができません。
こちらの記事も読まれています|不動産売却で「負動産」にしないための解決法をご紹介!
\お気軽にご相談ください!/
契約不適合責任は、2020年4月の民法改正時に、瑕疵担保責任からとって代わった制度です。
ここでは、契約不適合責任と瑕疵担保責任との違いについてご紹介します。
契約不適合責任では、先ほどご紹介した4つの請求をおこなうことができます。
一方、瑕疵担保責任では、損害賠償請求と契約解除の2つが請求可能でした。
契約不適合責任に代わり、買主が請求できる権利の選択肢が多くなっています。
また、損害賠償の対象も変わっています。
瑕疵担保責任では、信頼利益(売却するために必要な登記などの費用)のみ請求することができました。
契約不適合責任では、信頼利益にくわえ、履行利益(転売利益などの契約成立により得られるはずだった利益)も請求することが可能です。
一方で、瑕疵担保責任では、売主の過失の有無に関わらず損害賠償を請求できましたが、契約不適合責任では、売主の過失があることが、請求できる条件となっています。
瑕疵担保責任では、売主の責任は、「隠れた(買主が注意していても気が付かない)瑕疵」に限定されていました。
しかし、隠れた瑕疵は、裁判の際に立証することが難しいという問題がありました。
契約不適合責任では、契約内容と合致しているかが問われますので、瑕疵が隠れていたかは問題ではありません。
建物の不具合が契約書に記載されていなければ、原則として売主の責任となります。
買主が権利行使できる期間について、瑕疵担保責任では、「瑕疵の事実を知ってから1年間」という期限がありました。
契約不適合責任では、不具合を知ってから1年以内に「通知」すればよく、権利行使の期限については問われません。
そのため、売買契約書を作成する際は、権利行使ができる期間について明記しておくと良いでしょう。
また、通知から10年が経過すると、権利は時効消滅します。
こちらの記事も読まれています|不動産売却で「負動産」にしないための解決法をご紹介!
\お気軽にご相談ください!/
不動産を売却する際には、売主は、契約不適合責任について十分に理解しておかなければいけません。
契約不適合責任の内容を理解していないと、大きなトラブルに発展する可能性があります。
不動産売却における契約不適合責任の注意点は、どのようなものがあるでしょうか。
契約不適合責任で問われることは、契約内容と相違がないかということです。
不動産売却において、「柱の腐食があるとは知らなかった」といった認識違いによるトラブルはよく生じます。
この場合、トラブルの内容が契約書に記載されていなければ、原則として売主が責任を負わなければいけません。
知っている事実については、必ず明記するようにしましょう。
契約不適合責任では、買主が不具合を知ってから1年以内に通知をおこなえば、権利行使の期限は問われません。
権利行使の期間を設定していないと、権利が時効消滅する10年が経たない限り、売主は責任を負うこととなります。
契約書には、権利を実行できる期間を設定するようにしましょう。
なお、権利行使の期間については、「引渡しから3か月以内」と設定するのが一般的です。
契約不適合責任は任意規定です。
任意規定とは、売主と買主双方の合意があれば、契約内容が法律よりも優先される規定のことをいいます。
たとえば、柱に腐食がある場合でも、双方が合意すれば、売主は責任を負わないとすることは可能です。
とくに、築年数が古い戸建ては、後になって瑕疵が発見される可能性が高くなります。
契約書には、免責事項を必ず明記し、売主が責任を負わない範囲を明確にすることが大切です。
こちらの記事も読まれています|不動産売却で「負動産」にしないための解決法をご紹介!
今回は、契約不適合責任の基本的な知識や注意点についてご紹介しました。
契約不適合責任は、瑕疵担保責任以上に契約書の内容が重要です。
そのため、注意点を見落としてしまうと、大きなトラブルに発展する可能性があります。
「どのような契約にすれば良いのかわからない」とお悩みの方は、不動産会社に相談しながら、売却方法を決めていくと良いでしょう。
また、不動産会社に買取を依頼すれば、契約不適合責任をすべて免責とすることも可能です。
株式会社プレミアホームワークスは、松戸市を中心に、不動産売却のご相談を承っております。
不動産の買取もおこなっておりますので、不動産売却にお悩みの際は、お気軽にお問い合わせください。